リボンの騎士 ザ・ミュージカル

リボンの騎士 ザ・ミュージカル@新宿コマ劇場
(↓↓↓完全ネタバレにて注意)


月曜日に観劇しました
座席は8列下手側通路
行った方はわかると思いますが、舞台は恐ろしく近く、いわゆる「演者と目が合う」距離
物語を楽しめた…以前に、モーニング娘。を間近で見た、という感動
テレビやステージで見慣れた彼女たちが自分の目の前で歌い、踊るという状況にまずやられて、冒頭1曲目から身震いするほど感激しました
コンサートのモーニング娘。には「元気を貰う=嫌なことを忘れる」のに対して、今回は「(帰りの電車の中から)いろいろなことを考えさせられる」舞台でした
性差や輪廻のようなわかりやすくて興味深いテーマも印象に残りました
唐突なうさちゃんピースや小春のカレーのくだりも、舞台ならではのファンサービスとしては許容範囲だと思いましたよ
マナーの悪いファンやちょっと信じられないことを言う姿を見たりもしたのですが、普段は見かけない有閑マダムたちなどもいらして、開演前はちょっと緊張したりもしました
歴代ミュージカル最高傑作とは決して言い過ぎではないと思います

元来の天邪鬼でつい「干され推し」傾向にある私ですけれども、それでも、モー娘。×宝塚、リボンの騎士の主役といえばまず愛ちゃんを思い浮かべ、予想通りの配役とそれに応える演技…ほかのメンバーのサファイアだって充分興味深いのですが、誰かひとりといえばやっぱり愛ちゃん
彼女の強さ(そして脆さ、儚さ、故の美しさ)が発揮された素晴らしい舞台でした

この舞台でいちばんチャレンジをしたのは梨華ちゃんでしょう
彼女の歌は割と大好きなんですけれども、いい意味で期待を裏切られたといいますか、相当訓練したのだろうなと感じました
立ち振る舞いの凛々しさはいうまでもなく
娘。たちには先輩としての凄みと優しさもみせたのだろうと想像します
舞台では美しい男役として、フィナーレのレビューでは美勇伝としてセクシーな姿も魅せ(椅子を使ったダンスは宝塚の伝統のひとつだそうです)愛ちゃんと並んで華を飾っていました
更になっちとあややが出演の際には全く別の役を演じるというのですから…つくづく凄いひとです

最も宝塚的だったといえばこのひと…男装の麗人よっすぃ〜
父親という自分とはかけ離れた役を演じる為に(まぁ父親役は初めてではありませんが)あの愛ちゃんですら素に戻ってはしゃぐ場面でも独り男を演じ続ける姿が印象的でした
その姿は誰よりも美しく
そして舞台を楽しんでいる様子も彼女ならではでした

ミキティのシンガーとしての力量はディナーショーで身をもって体験しておりましたけれども、この舞台でもその魅力を如何なく発揮して、この世の者ではない妖しさと迫力を見せつけていました
個人的には大階段の上から人間界を睥睨するように見下ろすその眼力に震え上がり、その後、自らの望みを語る場面と神と共に天上へ召される場面の笑顔に胸を掴まれました
登場人物で唯一、愛や正義を語らず(しかし彼女が求めるものは「愛されること」という皮肉)自らの欲望のまま魂を求める姿に深い共感をおぼえました

吉澤大臣に仕える麻琴
男役ですが可愛らしく憎めない、麻琴らしい役だと思います
劇中いちばん常識的な人物かも知れません
目を引く見せ所は少ないものの
この舞台には欠かせない役所でした
この舞台でモーニング娘。小川麻琴としては最後であるという事実はなかなか信じがたいのですが
それはきっと千秋楽まで同じなのでしょう

いわゆるバカ息子、なんですけれども
シリアスな舞台の道化役をひとりで引き受け
ついには王になってしまったり
彼女の経験は紛れもなくその血となり肉となり
気がつけば小春は我々が感じるよりもずっと高いステージにいるのかも知れません
レビュー時に熱心に客席を眺めるあまり
ひとり振りを間違えてしまったのはご愛敬

ガキさんもまた(いつものように)嬉しそうに客席をみていましたね
可愛らしくて賑やかな淑女の役と
3万の兵を率いる騎士の役
凛々しい三銃士の姿はこの舞台の見どころのひとつです
ガキさんはもう本当に
安心して見ていられるエンターテイナーですから
それはもう可愛くて格好良かったですよ
あまりに近すぎたのでレビューの衣装の胸元に目が行ってしまったり
(隣の小春と見比べたりしてしまったり)したのは
内緒です

亀井ちゃんはね、正直に言うと(ゴメンね)私は
ガキさんばかり見てしまっているのですけれども
もちろん騎士の姿はとてもよく似合っていますし
そのマイペースな性格に惑わされてうっかり見逃していると
いつの間にかガキさんのポジション…いや
モーニング娘。のセンターに立つ日だって
案外近い将来なのかも知れませんよ
とにかく亀ちゃん、ガキさん梨華ちゃんの三銃士は注目です

 
どこかで「さゆは生まれる時代を間違えた」
というような評を見かけたのですが
本当にその通りで
絵画から抜け出したみたいなドレス姿は
本当にどこかの国のお姫様だったのかも知れません
そこにいるだけで絵になる女
ファンタジーの舞台にはとてもよく似合います
ついその白い背中を目で追ってしまったのは内緒の…

れいなとさゆは淑女とスカウトという
劇中通してひたすらキュートな役だったのですが
モーニング娘。現役トップ3の田中れいなとしては
少々物足りない役所だったのかも知れません
まぁシリアスな舞台の雰囲気とれいなのイメージが合わなかったのか…
れいな本人は妹的な可愛らしさで
この舞台を楽しんでいるようでした
また次の機会には
田中れいなサファイアが見られる日も来るのでしょう
客席へのサービスっぷりはいつもの通りのれいなでした

美勇伝のふたりは牢番、淑女、近衛兵と
コスプレ変化も忙しく、しっかり脇を固めるコンビ
辻希美と三好と岡田(美勇伝)」なんて
新しいトリオも見られたりしました
実は今回の舞台では
(箙さんとマルシアとなっちを除いて)
三好ちゃんがいちばん年上だって知ってました?

  • 岡田唯:牢番コリン/淑女/近衛兵

私は割と唯やんファンなんですけれども
こういった舞台ではよっすぃーやさゆと並んで彼女は
非常に映えるビジュアルの持ち主だと思うのですが
仲間内では残念ながらあまり賛同が得られなかったりします
マイペースが服を着て歩いているような女の子ですし
この舞台にものんびりと彼女らしく
取り組んでいたのかも知れませんが
そんな唯やんがやっぱりちょっと好きです

正直に申し上げれば、この日の前売り券を買ったのは辻ちゃん(と加護ちゃん)目当てだった訳でありまして、代々木で歌う姿を見られなかったこともあり心配しておりました
舞台には出演するということでひと安心したのですが、いざ幕が開いて見れば辻ちゃんの松葉杖姿…
「治ってないやん!」
長い稽古を続けて来た仲間と一緒にどうしてもステージに立ちたい!という強い希望で実現したのだと本人から(フィナーレで特別に挨拶)説明がありました
上演前に「辻希美は予定を変更して…」というアナウンスがあり、???と思っていたのですが、どうやらダンスはまだ無理ということで、予定されていたふた役のうちの淑女役を外れて牢番役だけを演じたということのようです(第2部まで出番はありませんでした)
牢番のエピソードも話しの流れ的にはやや余計かなと思う部分もあり、辻ちゃんと牢番という役のギャップも大きいのですが(囚われたマルシア王妃と並んでも母娘にしか見えない)、いつもの辻ちゃんファンタジスタぶりは抑えたシリアスな演技で違和感なくまとめていました(まぁ松葉杖で舞台に立っている時点で充分ファンタジーな訳ですが…)
レビューではドクロの松葉杖をファンシーな飾りのものに持ち替え、椅子に腰掛けて歌を披露しました
イントロが流れ、どよめく場内
舞台からせり上がって登場した辻ちゃん
歌は「恋ING」…


  • モーニング娘。の「凄さ」に関しては、ファンとしては今更言われるまでもないという感じですが、この舞台がその「凄さ」を伝えるきっかけになればいいな、とは思いました
  • なっちのフランツ王子は、モーヲタとしては割と簡単に想像できるんですけれども男役のあややっていうのは、ちょっと想像がつかないなぁ



  • もしまだ迷っている方がいらしたら、絶対見に行った方がいいと思います